諏訪森だより

特定非営利活動法人浜寺諏訪森を考える会

諏訪ノ森駅 駅舎の保存と活用

現在の諏訪ノ森駅のスケッチ 南海本線の連続立体交差事業が本格化し始めた頃、この事業が実現すると、駅は高架駅になり、現在使われている駅舎は不用になることが明らかになりました。また、工事の際には仮線の建設が先行して現在運行している路線が一時的に移転し、それによって空いた空間に高架施設が建設されることも判ってきました。

この仮線は現在の路線の西側に建設されて、その際に、現在の駅舎がまず取り壊されるということになります。国の登録有形文化財である駅舎をどのように取り扱うのか、が問題になってきました。

1. 駅舎保存・市民ワークショップと駅舎保存活用懇話会

平成18年10月から平成19年4月までに、堺市が「駅舎保存・市民ワークショップ」を4回にわたり開催し、諏訪ノ森駅と浜寺公園駅の駅舎を中心に、周辺資源、景観、駅舎活用のあり方などを勉強しました。さらに、平成19年8月から、平成20年2月まで、駅舎保存活用懇談会が開催されました。

この懇話会には委員として、学識経験者、地元自治連合会会長、一般公募委員、南海電気鉄道代表の11人が参加し、堺市が事務局をつとめました。 合計4回開催された懇話会では、ワークショップの成果を踏まえて、駅舎の状況と文化財としての価値、保存活用における課題、活用方策の比較検討、管理運営手法の検討などが行われて、駅舎保存活用基本構想試案がまとめられました。

2. 懇話会に示された駅舎保存場所の試案

駅舎保存計画案1懇話会では、A1:駅舎の入り口を西に向けて新駅の中にはめこむ、A2:駅舎の入り口を現状と同じ北向きのまま新駅の中央部にはめこむ、B1:駅舎を西向きにして駅前の通路寄りに設置する、B2:同様に西向きで新駅に近いところに接するように配置する、C:駅前広場内に設置する、D:新駅とは無関係にたとえば小学校の校庭に移設する、という6案が提示されました。

この中でB案は駅前広場の通路を塞ぐので実現性に乏しいこと、D案は適切な場所がないことと、現在の駅前を離れることは保存の意味が薄れるということで、不採用になりました。C案は交通規制上無理だろうと考えられていました。

3. 地元の対応と諏訪森駅舎の保存についての議論

駅舎保存計画案2 懇話会の進行に合わせて、地元では駅舎の保存と新しい駅の将来像について話し合う、平成19年に「諏訪森駅舎を考える会」がつくられて、住民の意思を懇話会に織り込むように働きかけました。

最初は、駅舎を保存する必要があるのか、ステンドグラスだけ残せばいいのではないか、という意見もありました。しかし、駅舎全体を保存して活用することで、この駅舎をまちづくりに役立てたいという意向が支配的になりました。駅舎の保存場所については、新しい駅の近くに置くことについては意見が一致していましたが、今と同じように、この駅舎を通って電車に乗りたいという意見が優勢でした。

しかし、そうすると、高架構造物との関係で、駅舎の屋根はほとんど切り取られ、ステンドグラスも駅舎が高架下にはめ込まれるので光が入らないようになります。コンクリートの構造物と木造の駅舎の調和も難しい問題でした。そこで、新しく駅前にできる広場の一角に駅舎を移動させる案が出てきました。懇話会のC案に近い案ですが、C案ではロータリーの中に設置されるので、交通安全の制約があって普段は立ち寄ることができません。

そこで、現在の場所に近く、駅舎の方向は90度回転して入り口が東に向く案が提起されました。建物は完全に今と同じ状態で残すことができます。これが下の図の「B案の代案」と書かれたものです。 地元の意向は二つに分かれて、なかなか結論が出ませんでしたが、最後の採決で、別置きの「B案の代案」が採用されました。懇話会の策定では両案が併記されていますが、最終的には別置き案で計画が進んでいます。

4. 駅舎の保存と活用は地元住民の手で

駅舎保存計画基本地元の意向を反映して、懇話会ではB案とB案の代案を併記した「浜寺公園駅および諏訪ノ森駅 駅舎保存活用構想」が平成20年2月に策定されました。駅前広場が図のような形に計画変更できる場合「B案の代案」の場所で保存活用されることになります。この結果を受けて、7月にパブリックコメントが求められ、8月の構想は最終決定しました。 保存と活用の具体的な取り組みは、今後の協議により決まりますが、建物は堺市が保有し、その運用を地元が行うことが期待されています。

そのために、平成21年4月に、「諏訪森駅舎を考える会」は発展的に解散して、「浜寺諏訪森を考える会」が発足しました。 平成21年に入ると用地買収が始まり、事業が実行に移されています。すべての用地が確保されるにはまだ数年かかりますので、当面はその推移を見守ることになります。しかし、仮線工事が始まる頃には現駅舎は駅前広場に仮移設されますので、その時点から地元による活用が始まります。また、新しい駅舎の構想や、高架下の利用計画、駅前広場の設計などに地元の意向を反映してもらう必要があり、限られた時間で、議論と意思の表明が必要になります。